バラード曲を聴きたくなった夜のこと

つい先日、最近話すことが増えた人と世間話の一環で好きな曲とかアーティストについて話す機会があり、どんな曲が好きかという質問を受けた。

一言に"好きな曲"っていっても沢山あるし、ジャンルも様々。『マイナーな曲を選んで会話を白けさせたくない』とか、『相手にも「いい曲だ」って思ってもらいたい』とか色々な感情が頭をよぎった。

 

曲であれ、映画であれ、本であれ、『好きを紹介すること』 は 『性格や考え方を曝け出すこと』 に近いと思っていて、"無難な線引き"を意識してしまう。(以前もこんな思いを題材に投稿した気がする…)

そんな中、ふと思い浮かんだのがこの曲だった。

 

星野源 「知らない」

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学生時代アカペラサークルに入っていた頃、先輩が歌っていたことで存在を知って、それ以来自分も好きだった曲。

会話自体はすぐ別の話題に移ってしまったが、頭の中では芋づる式で当時好きだった楽曲を様々思い出すことになった。

 

上述の曲をよく聴いていた頃、同様に沢山聴いていたのはこんな楽曲。

 

槇原敬之 「ANSWER」

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ゆず 「改札口」

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平井堅 「even if」

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全部見事にバラード。(笑)


どれも年単位で聴いていなかったし、人に勧めたのだから久々に聴いてみようと思い、寝静まった住宅街の一角でタバコを吹かしながら聴いてみた。初冬の寒空の中、久々に聴くバラードはどれも哀愁を帯びていて、当時よりも素敵に感じられた。


思えば、最近バラードを聴かなくなったと思う。関東に戻ってきてからか、同棲を始めてからか…明確にいつから聴かなくなったかは思い出せないが、当時より間違いなく聴かなくなった。

 

以前も少し書いたが、妻と付き合っていた頃は常に遠距離恋愛だった。妻はずっと静岡だったが、僕は横浜や札幌など、各地を転々としており、どこに住んでようと列車や飛行機を使った長時間の移動が必須だった。

かつて大好きだった曲たちはそんな遠距離恋愛特有の寂しさに寄り添ってくれていたんだと思う。歌詞の内容は様々だが、バラード曲の雰囲気が、感傷的になった心に寄り添っていてくれていたのだと。

 

そんな僕も、同棲を始めて、先日籍を入れた。
今では付き合っていた頃の長距離移動が嘘のように、玄関の扉を開ければ妻の出迎えがあり、逆に出迎えることもある。今までずっと心の隙間を埋めてくれていたバラード曲に頼る必要は無くなったんだと思う。

 

でも、そんな日々を過ごしていても、楽曲を通じて久々に当時の記憶に触れ、たまには大好きだったバラードに浸る夜があってもいいと思った。

感じることがなくなった "別れ際の寂しさ" や "遠距離恋愛に対する不安" といった感情を思い出すことで、今の毎日がとても幸せで愛おしく思えるのだから。

 

きっとバラード曲だけではなくて、自分の一部となっている様々なジャンルの楽曲に時を越えて触れることって大切なことなんだと思う。時間の経過で楽曲に対する印象も変わっているし、上手く表現できないけど、ひとつの"チェックポイント"という感覚。

そして、何よりも日々の生活を見つめ直すキッカケになると思うから。

 


それでは、また。

2022.11.6    うめおにぎり